2016年5月

山岸凉子先生との対談が月刊『flowers』7月号に掲載。

萩尾望都×山岸凉子対談2016年5月28日に発売された『月刊フラワーズ』7月号に萩尾望都先生と山岸凉子先生との対談が掲載されています。これは同誌の創刊15周年記念企画第2弾として実施されたでプレミアム対談です。

山岸凉子先生は萩尾先生より2つだけ年上で、デビュー当時からの交流があります。大泉サロンへ訪ねていった出会いのときの話から始まり、作家としてのお二人が、お互いへの敬意にあふれた対談となっています。

山岸先生の対談と言えば、2011年5月に発表された『Otome Continue』での対談があります。公式に発表された対談としてはこれは初めてのものでした。この対談の一部抜粋が「ぽこぽこ」にあがっています。このとき、山岸先生が意図的に萩尾先生の作品は読まない、とおっしゃっていたのに驚愕しました。今回も引き続き「対談のために初めて「ポーの一族」を読んだ、とおっしゃってて、本当なんだと。あらためて驚きました。「あの当時読んでいたらきっと打ちのめされていた。」とおっしゃっていて、山岸先生が才能のある方だからこそ影響を受けてしまうことを避けていたのだとわかります。「少年の名はジルベール」の竹宮惠子先生は、山岸先生とは逆の方法に出たのですね。

萩尾先生はずっと以前「60歳になったら年金がもらえるから、そうしたら引退しようと思っていたら、65歳に引き上げられたので、仕方なく描いています」と冗談でおっしゃっていましたが、もう67歳なので受給されておられるのですよね。今回の対談では「もう年金をもらっている(ような年齢な)ので、許して」とおっしゃっていて、どうも「年金」がキーワードなんだな(笑)と思いました。

「ポーの一族」の新作を描こうと思ったのは「第二次世界大戦の間、彼らが何をしていたか」が描きたかったとおっしゃっているので、やはりテーマは「第二次世界大戦」なんだと思います。顔が変わっていることや今更何故描くのかとファンに責められると思いながら描いていらっしゃているご様子ですが、読んでみたら、萩尾先生が描いたエドガーは、やっぱりエドガーなんです。

大泉サロンで出会い、一緒にヨーロッパへ行き、長い間、交流があって、そして未だに第一線で活躍される現役漫画家のお二人ですが、高い志と強い信頼をもってともに歩む、同士のようですね。

フラワーズ公式サイト

2016.05.29 13:32 | インタビュー・対談

「ポーの一族」の新作「春の夢」が月刊『flowers』7月号に掲載。

『flowers』2016年7月号2016年5月28日に発売された『月刊フラワーズ』7月号に「ポーの一族」の新作「春の夢」が掲載されています。

「エディス」の連載終了が1976年6月号なので、「ポーの一族」はぴったり40年ぶりに連載が再開されたことになります。この長い間、講演会の質疑応答などで何度も「「ポーの一族」の続きは描かれないのでしょうか?」と聞かれ、萩尾先生は「絵が変わってしまっているから」などお断りしていました。ところが、2014年10月に開かれたFC40周年記念のイベントの際「もしかしたら「ポーの一族」のスピンオフ・オフくらいのものは出来るかもしれない。」とおっしゃっていました(FC40周年記念 萩尾望都先生のトークショーの内容)。また、12月の犬吠埼での講演会の際も「今、「ポーの一族」の卵をふ化している最中です。うまく生まれてくれればいいなと思いながら、待っているところです。」とおっしゃっていました(犬吠埼灯台140周年記念 萩尾望都先生講演会「霧笛」レポート)。ずっと構想を練られていらしたんですね。

枠外の人物紹介の絵が昔のままです。本当に40年間お休みしていただけなんだな、続きなんだなと実感しました。

次回は冬に掲載される予定とのこと。「王妃マルゴ」の5ヶ月の後ですね。当初発表されたような前後編ではなく、「vol.1、vol.2」と記載されているので、しばらく続くのではないか、単行本1冊分くらいは描いていただけるのではないかと予想しています。

下記のページは物語の内容が一部記載されていますので、ネタバレがイヤな方は読まないで下さい。
春の夢

フラワーズ2016年7月号付録 訪問者/湖畔にてこの『フラワーズ』2016年7月号は同誌の15周年記念企画第2弾にあたり、あたかも萩尾望都特集号のようです。この「ポーの一族」の新作だけでなく、「訪問者」「湖畔にて」を収録した別冊付録、それから山岸凉子先生とのスペシャル対談なども収録されています。対談については濃い内容なのでまた別途。

【追補6月3日】
予想通り、というか予想以上に「フラワーズ」7月号が売れてしまい、小学館に電話が殺到したそうです。それで雑誌、それも少女誌としては珍しく重版されることになったとの発表がありました。
その上、電子書籍も販売されると。電子書籍は6/9、重版分は6/11頃書店に並ぶそうです。

フラワーズ公式サイト

2016.05.28 23:34 | 雑誌掲載情報

『LaLa』40周年記念原画展に萩尾先生の原画も。

LaLa 2016年7月号2016年7月23日~8月2日に開催される、白泉社『月刊LaLa』40周年記念原画展には総勢63名の原画270点以上が展示されます。その中には萩尾先生の原画も含まれているようです。『LaLa』2016年7月号にて発表されました。

萩尾先生は『LaLa』が刊行された1976年の11月と、その後、1977年の9月から翌78年の8月までの1年間ずっと表紙を飾ってきました。『LaLa』にはストーリーものの作品こそ載せていないものの、このようなイラストのほか、イラストポエムというべき「水色のエプロンの女の子」と「追憶」、ほかに「パリ便り」「紅茶の話」など留学中のイラストエッセイを寄稿。創刊当時に参加されています。どの絵が出るのかな?楽しみです。

雑誌表紙イラスト『LaLa』

この原画展には63名の漫画家の作品が展示されるそうですが、萩尾先生のほか、青池保子、竹宮恵子、美内すずえ、大島弓子、木原敏江、山岸凉子、和田慎二、三原順、坂田靖子(敬称略)など大御所の原画も展示されるようなので、見逃せません。


「LaLa40周年記念原画展 美しい少女まんがの世界」

会期:2016年7月23日(土)~8月2日(火)
会場:西武池袋本店 別館2階=西武ギャラリー
時間:10:00~21:00(7/24、7/31は20:00まで、入場は各日閉場の30分前まで)
入場料:一般1000円、大学生・高校生800円、中学生400円(小学生以下無料)
前売券:800円(A3ポスターカレンダー2017付)

「LaLa40周年記念原画展 美しい少女まんがの世界」公式サイト

LaLa40周年で大規模原画展!成田美名子、緑川ゆき、大島弓子ら63名が集結(コミックナタリー)

2016.05.24 21:24 | イベント

エッセイ集「一瞬と永遠と」の文庫版が刊行されました

一瞬と永遠と2016年5月6日、「一瞬と永遠と」(朝日文庫)が朝日新聞出版から刊行されました。これは2011年6月に幻戯書房から刊行されたエッセイ集の文庫化です。文庫化にあたり、2本のエッセイ、文庫化にあたっての萩尾先生ご自身のあとがき、そして穂村弘さんによる解説が新たに追加されています。

「一瞬と永遠と」

この追加された2本のエッセイは「女心」と「わが師の恩」というもので、後者は2015年夏に逝去された山本順也氏についてのエッセイです(初出は1990年の週刊朝日)。山本氏は萩尾先生が講談社でなかなか原稿が採用されない時期に紹介されて小学館へ原稿へもっていくと、これまでのものも全部持ってくるよう言った方です。『少女コミック』の時代、『プチフラワー』の時代、ずっと直接担当されていたわけではありませんが、近くで見守ってこられました。直接的なことはあまり言わない山本氏が萩尾先生にとって、どんな存在であったかが書かれています。最後の「三度の鐘」についてお話しをうかがってみたいものです。

この文庫版用に追加されたあとがき「道のり」も山本氏とのお話しです。「いやあ、違うよ。」と笑いながら、お腹の中で「わかってんだろう?」と言ってるような、そしてそれを萩尾先生も充分わかってる。そんなお二人のやりとりが書かれていて、思わず私もほほえんでしまいました。そしてこの出来事が「トーマの心臓」の不人気(今では信じがたい)に苦しんでいた萩尾先生へ、どれほどの励ましになったことかと思うと、胸が詰まります。

この時期に出された本に、このエッセイを追加されたこと、そしてこの文庫版のあとがき。「今、わたしは、ここにいる。」と過去のエッセイ集をあらためて出したあとがきにそう書かれているのです。是非、読んでみてください。

尚、表紙のイラストは「あぶない未来少年」の予告カットです。『ファンタジーDX』1994年6月号に掲載された、7月号の予告です(by 図書の家)。

2016.05.02 11:44 | 単行本発売情報, エッセイ