作品目録

泣きさけぶ女の人

Bradbury傑作選

原作
レイ・ブラッドベリ The Screaming Woman
初出誌
「週刊マーガレット」1978年第22号(1978年5月21日号) p130~151(22p)
登場人物
マーガレット(マギー)
パパ:マーガレットの父親
ママ:マーガレットの母親
ヘレン:マーガレットの両親の同級生で隣に住んでいる。
チャーリー・ネスビット:ヘレンの夫
デビィ:マーガレットの友達
ケリー
アンナ
あらすじ
マギーがママに頼まれて買い物に行った帰り、いつもの空き地で地面の下から女の人が泣き叫ぶ声が聞こえる。マギーは慌ててパパを呼びに行くが、なかなか動いてくれない。ようやく連れて行くと、声はもう聞こえない。仕方がないので、自分で掘り出そうとすると、通りかかったデビィが手伝ってくれる。
空き地の持ち主のケリーに見つかって怒られ、マギーはケリーが奥さんを殺して埋めたのだと思いこみ、おまわりさんにそのことを告げる。おまわりさんにケリーの家に行ってもらうと、奥さんは生きていた。
マギーは町中の人に訴えるが誰も相手にしてくれない。最後にお隣のヘレンの家に行くと、ヘレンさんはおらず、夫のチャーリーがいてマギーとトランプをして引き留める。
諦めて家に帰る途中、空き地では女の人はもう泣き叫んではおらず、歌を歌っている。家に帰ってパパにその歌を聞かせると、それがパパが昔ヘレンに作ってもらった歌であることに気づき、慌てて空き地を掘り始める。
コメント
この作品はホラーっぽく見せて、実は現実的なところへ落としていく、というものだと思ったので、女の人は「地面の中で生きていて叫んでいる」のだと私は信じていました。「いそがないと女の人の箱の空気がなくなるわ」というマギーの台詞から、そう思ったのです。
ところが最後のマギーの台詞が「まさか裏庭に女の人が殺されて埋められていたなんて…」とあるので、殺されたヘレンの怨念が叫ばせていたのでしょうか?それとも、ずっと生きていたのに、間に合わなくて死んでしまったのでしょうか?意図的にどちらともとれるように描かれたのかもしれません。
ですが、原作を読むと、上記のような台詞はないので、ストレートに「ヘレンは地面の下で生きていた」と考えて良いかと思います。
ヘレンは本当はずっとマーガレットの父親を愛していて、仕方なくチャーリーと結婚して隣に住んでいたのだと、私には思えます。そして最後に彼に歌を伝えたのだと。そう思うとロマンチックな物語でもあります。
ですが、これは「子供のいうことを信じない怖い話」だと思うのです。やはりホラーですね。

2010.6.17

収録書籍
ウは宇宙船のウ―ブラッドベリSF傑作選

ウは宇宙船のウ―ブラッドベリSF傑作選(集英社漫画文庫) 1978.12

萩尾望都作品集・第二期 第6巻 ウは宇宙船のウ

萩尾望都作品集・第2期 6 ウは宇宙船のウ 小学館 1985.12

ウは宇宙船のウ (小学館文庫・新版)

ウは宇宙船のウ 小学館文庫・新版 1997.9.1

入手しやすい本作品収録の単行本 ウは宇宙船のウ (小学館文庫・新版)

ウは宇宙船のウ (小学館文庫・新版)  小学館 1997.9.1

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