作品目録

苦手な人種

メッシュシリーズ 9

初出誌
「プチフラワー」1982年9月号(1982.9.1) p7~56(50p)
登場人物
メッシュ:両脇だけ白銀という二色(メッシュ)の髪をもつ金髪の少年。
ミロン:メッシュの面倒をみている贋作画家
ルー:追っかけの少女
ポーラ:ルーの姉
ハブ:ディスコ・スターダストに出演するバンドのボーカル
ギード:ミロンの幼なじみ
あらすじ
ある日メッシュは切れた金鎖のネックレスを修繕してもらおうと、アクセサリー店に持って行く。その時、すぐ後から入って来たかっぱらいと仲間に間違えられ、金鎖を置いたまま慌てて店を飛び出す。ところが、そのかっぱらいは当の店の娘に言われて盗みに入ったのだった。二人の話を聞いたメッシュに置いてきた金鎖を取り返してあげるという、その少女、ルーは「スターダストというディスコで歌手をしている」と言って去っていく。
ミロンの幼なじみのギードに誘われて、メッシュはそのスターダストの横のカフェで皿洗いのバイトを始める。ディスコにはハブという歌手が歌っていて、ルーはハブの追っかけだった。ルーはハブにメッシュの金鎖をプレゼントしてしまう。それを見ていたメッシュは「自分の金鎖だから返せ」とハブに言うのだが、追っかけたちにはしつこくするなとか、金鎖はハブの方が似合うと言われ、ルーには「もうしょうがないじゃん」と言われしまう。メッシュは「何か人種が違うって感じだなぁ。言葉が通じるんだろうか」と思ったのだが‥。
コメント
今回登場するのは、パリのディスコ、そしてロック歌手とその追っかけです。
とにかく、メッシュが成長したなぁという作品です。女の子は慰めるし、女の子がその時一番言って欲しい言葉をきちんとわかって、言ってあげる。一番して欲しいことを、ちゃんとしてあげる。それも少しずつ自然体にできるようになっていく。「革命」の時にくらべると、ずっと大きくなりました。失恋は男を成長させますねぇ(笑)。
ポーラとルーの姉と妹の関係が作品の柱です。美しく優しく思いやりにあふれた姉。その姉に憧れる一方でうっとおしいと思うコンプレックスをもつ妹。典型的な姉妹ではありますが、このお姉さんが強力です。あまりにも極端に描かれているのかもしれませんが、凄い人なんです。
美しいけれど、無神経で人の気持ちが全然わからない姉。人を平気で傷つけるけれど、全くの無自覚。自分が正しいと一方的に信じていて、自分の正当性を確保するため、自分のしたことに無意識のまま目をつぶってしまう。本当のことは何も見えていない、何事にも無関心な姉。
これに対してあまり美しくない妹はとてもチャーミングな女の子です。私は単純でかわいらしくて、いいなと思いましたけど。
あんず堂「思い出を切り抜くとき」を合わせてお読み下さい。この異様なお姉さんは何なのか、少しわかります。
収録書籍
千の矢 メッシュ5


千の矢 メッシュ5 小学館 1983.7


萩尾望都作品集・第二期 第13巻 メッシュ 3

萩尾望都作品集・第2期 13 メッシュ 3 小学館 1985.11

メッシュ 第3巻

メッシュ 第3巻 白泉社文庫 1994.12

萩尾望都パーフェクトセレクション 5 メッシュ II

Perfect Selection 5 メッシュ II 小学館 2007.10.31

千の矢

モザイクラセン