作品目録

ハーバル・ビューティ

 

初出誌
「ぶ~け」1984年10月号(1984.10.1) p7~57(51p)
登場人物
ルゥ・ハイネッツ:夜来香星の少年(?)
ネオ・フロート:宇宙船の船長
フランケン:乗組員
コンゴ:乗組員
ドクターホップ:アンドロイド。船の医者。
マスター:夜来香星でルゥの父親と友人だった。酒場のマスター。
ハイネッツ:辺境民俗学の研究者。ルゥの父親。
あらすじ
ネオ船長と乗組員は宇宙船で辺境へ行き、珍しい物を仕入れては地球などで売りさばく商売をしている。。今夜は夜来香星に珍しいハーブを求めてやって来たが、7年に1度の革命で、到着したら4時間以内に強制退去と言われる。ブルー・レモン50kgを手に入れて終わりだと思っていたら、酒場に呼びつけられ、美少年に密出国したいと言われる。禁輸出品の「ハーバル・ビューティ」1kgと交換で、少年の密出国を引き受ける。
ハーバル・ビューティは若返りと美顔に効くという幻のハーブ。夜来香星の住人が美形揃いなのは、このハーブのせいと言われている。高く売れるため、持ち帰れば大金を手に入れることができる。ネオ船長は新しい船を手に入れ、ルゥは望み通り地球に行ける。
だが、「ハーバル・ビューティが禁輸出品なのは理由があった…。
コメント
集英社『ぶ~け』に掲載された唯一の作品。コメディタッチのSF中編です。「夜来香」は五弁の星のような形の花で、李香蘭の歌が有名ですが、この名前がついた星が舞台です。
星の住人は半分植物で、7年に1度同化して集合意識を作り、老いた者はわかがえり、病気の者は癒され、交配が行われます。それを「革命」と呼んでいるのですが、若い頃一時期星を離れてしまったマスターや季節外れに生まれた地球人とのハーフであるルゥなどは同化出来ないので孤独のまま一生を終えます。ルゥはそれがいやで父と母が死んだ(土に帰った)後、地球に行こうとします。
この7年に1度しか子供が生まれないという設定は「銀の三角」(6年周期)と同じで、その理由も惑星がのぼるからというので近いですが、半植物で同化してしまうというところは大きく異なります。
「作品集」の方ではカラー4ページが入っており、非常にカラフルです。ハーブや花がテーマなので、とてもきれいですが、船長たちのファッションもなかなかに奇抜です。
全体的に良い香りがふわっとただよってくるような美しく、楽しい作品です。

2010.7.6

収録書籍
萩尾望都作品集・第二期 第9巻 半神

萩尾望都作品集・第2期 9 半神 小学館 1985.3

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