作品目録

トーマの心臓

 

初出誌
「週刊少女コミック」1974年第19号~第52号 全33回 453p
第1回:1974年第19号(1974年5月5日号) p127~149(23p)
第2回:1974年第20号(1974年5月12日号)p137~149(13p)
第3回:1974年第21号(1974年5月19日号)p169~181(13p)
第4回:1974年第22号(1974年5月26日号)p199~211(13p)
第5回:1974年第23号(1974年6月2日号)p179~191(13p)
第6回:1974年第24号(1974年6月9日号)p213~225(13p)
第7回:1974年第25・26号(1974年6月16・23日合併号)p235~247(13p)
第8回:1974年第号(1974年6月30日号)p167~179(13p)
第9回:1974年第28号(1974年月7日7号) p167~179(13p)
第10回:1974年第29号(1974年7月14日号)p167~179(13p)
第11回:1974年第30号(1974年7月21日号)p167~179(13p)
第12回:1974年第31号(1974年7月28日号)p165~177(13p)
第13回:1974年第32号(1974年8月4日号) p149~161(13p)
第14回:1974年第33号(1974年8月11日号)p141~155(15p)
第15回:1974年第34号(1974年8月18日号)p227~241(15p)
第16回:1974年第35号(1974年8月25日号)p205~219(15p)
第17回:1974年第36号(1974年9月1日号)p223~237(15p)
第18回:1974年第37号(1974年9月8日号)p205~219(15p)
第19回:1974年第38号(1974年9月15日号)p209~223(16p)
第20回:1974年第39号(1974年9月22日号)p247~261(15p)
第21回:1974年第40号(1974年9月29日号) p185~199(15p)
第22回:1974年第41号(1974年10月6日号) p197~211(15p)
第23回:1974年第42号(1974年10月13日号) p231~245(15p)
第24回:1974年第43号(1974年10月20日号) p231~245(15p)
第25回:1974年第44号(1974年10月27日号) p231~245(15p)
第26回:1974年第45号(1974年11月3日号) p233~247(15p)
第27回:1974年第46号(1974年11月10日号) p199半分~213(15p)
第28回:1974年第47号(1974年11月17日号) p167~181(15p)
第29回:1974年第48号(1974年11月24日号) p189~203(15p)
第30回:1974年第49号(1974年12月1日号) p111~125(15p)
第31回:1974年第50号(1974年12月8日号) p199~213(15p)
第32回:1974年第51号(1974年12月15日号) p167~181(15p)
第33回:1974年第52号(1974年12月22日号) p113~127(15p)
登場人物
ユーリ(ユリスモール・バイハン):シュロッターベッツ・ギムナジウムの生徒。14歳。成績優秀で委員長。
エーリク・フリューリンク:シュロッターベッツにやってきた転入生。ユーリと同級。
オスカー・ライザー:ユーリと同室の生徒。ユーリと同級だが一つ年上の15歳。
トーマ・ヴェルナー:自殺してしまった生徒。ユーリと一つ年下の13歳。
アンテ・シューベル:トーマの同級生。オスカーを追い回す。
ヘルベルト:ユーリをライバル視している生徒。
レドヴィ:盗癖のある生徒。
ホセ:上級生。
バッカス:上級生。オスカーの良き相談相手。
サイフリート・ガスト:六角眼鏡。シュロッターベッツの退学者。
ミュラー:シュロッターベッツの校長
ブッシュ:シュロッターベッツの教師。国語。
マリエ:エーリクの母親。
ユーリ・シド・シュヴァルツ:エーリクの母親の再婚相手。
アルフォンヌ・キンブルグ:エーリクの弁護士。
グスターフ・ライザー:オスカーの父親。回想シーンでのみ登場。
ヘレーナ・ライザー:オスカーの母親。回想シーンでのみ登場。
シェリー・バイハン:ユーリの母親。
エリザベート・バイハン:ユーリの妹。病気がち。
あらすじ
まだ雪の残る早春の朝、トーマ・ヴェルナーが陸橋から線路に落ちて死んだ。金網に裂け目が出来ていたため、足を滑らせたのだろうと、事故として処理された。シュロッターベッツ・ギムナジウムの新学期が始まる、その直前だった。学校にやってきたユーリはみなからそのことを知らせられる。寄宿舎の部屋で待っていたのは同室のオスカーと、トーマからの一通の手紙だった。その手紙を開封したユーリは、トーマが死んだのは事故ではなく、自殺だと知る。
ショックを受けたユーリは、表面上は通常の学校生活を送るが、精神的には自分宛の遺書を残して死んだトーマの気持ちを測りかね、追い詰められていく。ある晩、発作のように呼吸困難を起こしたが、翌朝、オスカーに勧められて学校を休み、トーマの墓へ行って遺書を破る。トーマには支配されないと宣言し、学校生活を取り戻そうとするが、まさにそのとき、トーマにそっくりな転校生エーリクに出会う。
エーリクは学校にセンセーショナルを起こす。トーマに似ているということだけでなく、学校にすら行ったことのない、きかん気の性格がその原因だ。オスカーは苦しむユーリを見守りながら、エーリクを学校になじめるよう、導いていくのだが……。
コメント
「ポーの一族」と並ぶ、初期萩尾望都の代表作。少年たちの愛と友情をドイツのギムナジウムを舞台に展開した中編。キリスト教の信仰という要素も加わった、詩的で格調高い作品です。非常に多くの解説が出ているので、なるべく短くします。
まず、現在の語彙で言うところの「少年愛」の作品ではありません。男女の愛よりピュアな愛が描けるという点から少年と少年の愛を選んだのが理由だそうです。最初から「少年ありき」の作品ではなく、もっと純粋な人と人との愛を描こうとした作品です。
次に、ドイツのギムナジウムという舞台については、この作品を作るにあたり、インスパイアされたという「寄宿舎―悲しみの天使」という映画に寄るところが大きいと思われますが、これはフランス映画ですので、そのままではありません。おそらく萩尾先生が学生時代に読まれたというヘッセの作品群の影響があると私は予想しています。ギムナジウムは「小鳥の巣」の舞台でもあります。ギムナジウムに制服はありませんので、その点はイギリスのパブリック・スクールや先に出たフランスの高校のイメージで作られたのだと思います。
「トーマの心臓」には「11月のギムナジウム」という先行作品があります。これは「トーマの心臓」の発表より前に発表されたものではありますが、着想としては「トーマの心臓」より後に同じ舞台・登場人物で別の作品を書こうとして作られたものだそうです。
そして、また「訪問者」という「トーマの心臓」より後に発表された作品がありますが、これはオスカー・ライザーがシュロッターベッツにやってくる以前の物語です。
では、最後に有名なトーマの詩を全文引用します。最初に読んだときは文学作品から引っ張ってきたものかと思いました。あまりに格調高いのでそう感じたのだと思います。
ぼくは ほぼ半年のあいだずっと考え続けていた
ぼくの生と死と、それからひとりの友人について。

ぼくは成熟しただけの子どもだ ということはじゅうぶんわかっているし
だから この少年の時としての愛が
性もなく正体もわからないなにか透明なものへ向かって
投げだされるのだということも知っている

これは単純なカケなぞじゃない
それから ぼくが彼を愛したことが問題なのじゃない
彼がぼくを愛さねばならないのだ
どうしても

今 彼は死んでいるも同然だ
そして彼を生かすために
ぼくはぼくのからだが打ちくずれるのなんかなんとも思わない。

人は二度死ぬという まず自己の死 そしてのち 友人に忘れ去られることの死
それなら永遠に
ぼくには二度目の死はないのだ(彼は死んでもぼくを忘れまい)
そうして
ぼくはずっと生きている
彼の目の上に

2010.5.6

収録書籍
トーマの心臓 第1巻(フラワー・コミックス41)

トーマの心臓 1 フラワーコミックス4 小学館 1975.2

トーマの心臓 第2巻(フラワー・コミックス42)

トーマの心臓 2 フラワーコミックス 小学館 1975.4

トーマの心臓 第3巻(フラワー・コミックス43)

トーマの心臓 3 フラワーコミックス 小学館 1975.6

萩尾望都作品集 第11巻 トーマの心臓 1

萩尾望都作品集 11 トーマの心臓 1 小学館 1978.3

萩尾望都作品集 第12巻 トーマの心臓 2

萩尾望都作品集 12 トーマの心臓 2 小学館 1978.4

トーマの心臓 第1巻 転入生

トーマの心臓 1 転入生 小学館文庫 1980.11

トーマの心臓 第2巻 同室者

トーマの心臓 2 同室者 小学館文庫 1980.11

トーマの心臓―Das Herzklopfen des jungen Thomas

トーマの心臓 小学館叢書 1989.12


トーマの心臓

トーマの心臓 小学館文庫(新版) 1995.9

萩尾望都パーフェクトセレクション1 トーマの心臓I

Perfect Sellection 1 トーマの心臓I 小学館 2007.7.31

萩尾望都パーフェクトセレクション2 トーマの心臓II

Perfect Sellection 2 トーマの心臓II 小学館 2007.7.31

トーマの心臓 プレミアムエディション

トーマの心臓 プレミアムエディション 小学館 2023.2.14

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