作品目録

メッシュ

 

初出誌
「プチフラワー」1980年夏の号(1980.9.1) p267~317(51p)
登場人物
メッシュ:16~17歳頃のチンピラ風の少年。金髪だが両脇だけ白銀という2色(メッシュ)の髪をもつ。
ミロン:贋作画家。メッシュを拾う
ヒゲの医者:ミロンのアパートの1階に住んでいる。メッシュの怪我を治してやっている
ドルー:ギャングっぽい男。メッシュとは知り合いらしいが
贋作画廊の主人:ミロンに注文を出している表向きはまっとうな画廊の主人
バン:ドルーのボス。ギャングらしい
サムソン:メッシュのボス。ギャングらしい。
舞台
現代のパリ,サンジェルマン,ド・ゴール空港,チュイルリー公園
あらすじ
少年がリンチを受け、右腕の骨を折られる場面から物語は始まる。その少年はメッシュと名乗り、友達に泊めてくれるよう電話で頼むが、ボスの麻薬を盗もうとしたメッシュにかかわると自分の身が危ないとあっさり断られる。ふらふらと歩くメッシュの前に車が止まった。その男はメッシュが怪我をしていることに気付き、自分のアパートに連れて帰る。階下に医者が住んでいるので手当をしてもらい、自分のベッドで寝かせてやる。
翌朝目覚めると男はミロンと名乗り、行くところがないのなら好きにしろと言う。メッシュはそのままいついてしまい、なんとなく呼吸の合う二人の生活が始まる。
だが、メッシュの周囲にはギャングのような男がうろついており、夜中に悪夢で目が覚めるといった様子がミロンは気にかかる。ある日タバコを買いに出たメッシュにギャングのような男が近づき…。
コメント
凄惨なリンチの夜から、ミロンのアパートで迎える初めての朝の情景。そしてサムソンに殴られて帰って来た時、ミロンに「心配した」と言われた時の「ポチャーン」という音。光と音の作家、萩尾先生の魅力あふれる長篇の幕開けです。1980年代の代表作だと私は個人的に思っています。
この「メッシュ」という作品は遅れてきた世代の私にとっては、萩尾先生の最高傑作なのです。リアルタイムで「ポー」や「トーマ」を読んではいましたが、とても幼な過ぎてよくわかっていませんでした。確かに、絵やデッサンの過渡期だとは思います。しかし、凄惨でかつ暖かい人間ドラマとしての「メッシュ」の魅力は決してあせることはありません。
この物語の全編を包むメッシュの真摯さとミロンの暖かさは最初から全開です。ミロンの強さと優しさはどこから来るんだろう、と読むたびに思います。彼は怪我をした子犬を連れ帰って、養生させてやり、怪我をしているのにもかかわらず出て行ったまま長時間帰らないのを心配しているだけです。それは本当に人間として当たり前の優しさなのです。
けれど、それを当たり前と受け取ることが出来なかったメッシュ。そんな彼の傷を理解出来るからこそ、私もミロンの優しさに感動してしまうのだと思います。ありきたりで申し訳ありませんが、やはり私たちにとっても「癒し」の物語なのです。
これは傷ついた少年が歩いていく道のりと、彼を見守る人たちの優しくて厳しい物語です。何かの作品で萩尾作品を知ったけれど、この作品を読んだことのない方に、是非一読をお勧めします。
収録書籍
メッシュ MECHE


メッシュ MECHE 小学館 1981.8.10


萩尾望都作品集・第二期 第11巻 メッシュ 1

萩尾望都作品集・第2期 11 メッシュ 1 小学館 1985.7

メッシュ 第1巻

メッシュ 第1巻 白泉社文庫 1994.12

萩尾望都パーフェクトセレクション 4 メッシュ I

Perfect Selection 4 メッシュ I 小学館 2007.10.1

酔夢

ルージュ