作品目録

ルージュ

メッシュシリーズ 2

初出誌
「プチフラワー」1980年秋の号(1980.11.1) p267~326(60p)
登場人物
メッシュ:16~17歳頃のチンピラ風の少年。金髪だが両脇だけ白銀という二色(メッシュ)の髪をもつ。
ミロン:贋作画家。メッシュを拾って面倒を見ている
ホルヘス(サムソン):メッシュの父親。ギャングのボス
エーメ:ホルヘスの妻。メッシュの義母
早耳ラッタ:情報屋
ユフィル:麻薬の仲買人
バン:ギャングのボス。サムソンと組んでいる
ルイ・シラノ:メッシュと同じアパートに住む医師
エレーヌ:タイピスト。ルイ・シラノの恋人
舞台
現代のパリ,サンジェルマン,北駅,パンテオン,ホテルクリリオン
あらすじ
メッシュは相変わらずミロンと暮らしている。怪我が治ってサムソンを殺す計画を実行に移すため、着々と準備を進める。
サムソンは麻薬取引の新しいルートをギリシアに開いて、ボス・バンに実行を依頼する。何も知らない義母に電話して父親の予定を聞き、取引の日時を情報屋に探らせる。
情報屋のところで具体的な日程を聞き出し、シャワーを浴びるふりをして、浴室から外へ抜け出そうとしたメッシュの耳に銃声が響く。仲買人ユフィルが情報屋を殺したのだ。シャワーの音に気付いたユフィルは窓のところにやって来て、メッシュを撃とうとするが、間一髪銃を奪い取ったまま外に落ちる。銃を手に入れたメッシュはいよいよ計画を実行しようとするが…。
コメント
「メッシュ」第2作。フィルム・ノアールのようでいて、それでいて叙情的な、あまりにも美しい作品。
子供の頃スイスの寄宿舎でやって来てくれることを切望していた父親こそが、メッシュが断ち切りたがっていた鎖です。これを自ら銃で引きちぎったのです。でも、それはやはり、ミロンの優しさがなくては出来なかったことでしょう。
ミロンはメッシュの心の傷に気付き、やはり見捨てられないと、父親を殺そうとするメッシュを止めようとします。そして最後にメッシュが子供の頃一番望んでいたことをしてあげる。それを咄嗟に自然に出来るところが凄い。普段は放っておいて、いざという時だけ相手にとって最も必要なことがサラっと出来る。ここらへんがミロンのたまらない魅力です。殺し屋相手に平然と渡り合うあたりも、気楽でいて経験豊かな渡世人っぽくっていいです。
萩尾先生は、この作品を描いた頃、一番ご両親との確執が強かったとインタビュー等で語られています。どうして親とうまくいかないのか、心理学の本などをたくさん読んだと。このメッシュの「親殺し」の物語はそうやって生まれたのだと思います。
これでやっとメッシュの孤独な少年時代が終わり、次の一歩を踏み出すことが出来ました。だから「メッシュ」という物語はここで一つ終わり、そして始まるのです。
収録書籍
メッシュ MECHE


メッシュ MECHE 小学館 1981.8


萩尾望都作品集・第二期 第11巻 メッシュ 1

萩尾望都作品集・第二期 11 メッシュ 1 小学館 1985.7

メッシュ 第1巻

メッシュ 第1巻 白泉社文庫 1994.12

萩尾望都パーフェクトセレクション 4 メッシュ I

Perfect Selection 4 メッシュ I 小学館 2007.10.1

メッシュ

金曜の夜の集会

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