2017年5月

「ポーの一族」が宝塚歌劇団花組にて舞台化されます。

ポーの一族「ポーの一族」が宝塚歌劇団花組にて舞台化されることが発表されました。2018年1~3月に兵庫・宝塚大劇場、東京・東京宝塚劇場にて上演されます。このニュースを聞いて私は最初に小池修一郎先生(愛称イケコ)の長年の願いが実ったのだなと感慨深いものがありました。

ミュージカル・ゴシック「ポーの一族」花組公演
原作:萩尾望都
脚本・演出:小池修一郎
主演:明日海りお、仙名彩世

2018年1月1日(月)~2月5日(月):宝塚大劇場
2018年2月16日(金)~3月25日(日):東京宝塚劇場


「ポーの一族」(小学館文庫)第1巻のあとがき「パンパネラの封印」によると、劇作家であり舞台演出家である小池修一郎先生は1977年の宝塚歌劇団入団時にすでに「ポーの一族」を舞台化したいという希望をもっていらしてました。独り立ちした演出家としてデビューしたのが1986年で、翌年1987年に第2作として「ポーの一族」をやりたかったのですが、少年なので難しいと、大人のドラキュラものをやろうと「蒼いくちづけ」を作・演出されました。この時から萩尾先生は小池修一郎先生の作・演出作品にはずっと招待され、ご覧になっているそうです。

1996年星組公演「エリザベート」の再演時に主役2人と小池先生、萩尾先生の4名で対談をしており、『歌劇』に掲載されています。この時の話に出たことですが、萩尾先生が最初に宝塚をご覧になったのは、15歳のとき。「霧深きエルベのほとり」という舞台だったそうです。大阪に住んでいらした高校生の頃と一致しますね。(「エリザベート」特別対談―「歌劇」1996年9月号 p88~92)また、小池先生ご自身が「エリザベート」をノベライズ化した本(文庫本の方です)のあとがきを萩尾先生が書かれています。

2003年6月~7月に雪組公演で「アメリカン・パイ」が上演されます。これまで唯一の萩尾作品の舞台化です。映像はCSのスカイ・ステージで時折見ることができます。

2003年11月~2004年3月、宝塚歌劇団月組トップスター、紫吹淳さんの退団公演となった「薔薇の封印―ヴァンパイア・レクイエム―」が上演されました。作・演出はもちろん小池修一郎先生。この時の「ヴァンパイアと薔薇の谷」という「ポーの一族」の設定を使うことの許可を萩尾先生から得ています。パンフレットにも「清く妖しく美しく」という2ページのエッセイを寄せられています。その文末で宝塚の魅力をこう表現されています。名文です。

薔薇の香りにたちくらみ、おののき、ときめき、ためいきの宝塚の舞台に、透きとおるように溺れたい。

この時の対談では「ポーの一族」は少年が主人公なのでどうしても制約があって、と小池先生が語られています。(宝塚月組トップ ラストステージの舞台裏―ヴァンパイアに魅せられて「婦人公論」1149号 2004.3.22 p144~148)。今回の公演はこの「制約」が何らかの形でクリヤされたせいなのでしょうか?是非その辺を小池先生に語っていただきたいものです。

この公演については『月刊フラワーズ』2017年7月号に萩尾望都先生のコメントが掲載されるそうです。

萩尾望都先生の名作『ポーの一族』初舞台化!宝塚歌劇で上演!(月刊フラワーズ)
2018年 公演ラインアップ【宝塚大劇場、東京宝塚劇場】<2018年1月~3月・花組『ポーの一族』>(宝塚歌劇団)
「ポーの一族」宝塚花組にて舞台化、2018年に上演(コミックナタリー)
宝塚「ポーの一族」を初舞台化、30年かけ交渉成立(ORICON NEWS)

2017.05.23 21:36 | イベント

「萩尾望都SF原画展」2017年の巡回展が出揃いました。

萩尾望都SF原画展2017巡回展2016年5月に吉祥寺美術館で開催されて好評を博した「萩尾望都SF原画展」の2017年の巡回展が出そろいました。

2017年7月15日(土)~9月3日(日)
新潟市マンガ・アニメ情報館

2017年9月9日(土)~11月5日(日)
神戸ゆかりの美術館

2017年11月11日(土)~12月23日(祝)
佐野美術館

新潟市マンガ・アニメ情報館
所在地:新潟県新潟市中央区八千代 2-5-7 万代シテイBP2 1階
開館時間:11:00~19:00(土・日・祝は10:00~)
休館日:1月1日(展示替えによる臨時休館あり)

神戸ゆかりの美術館
所在地:神戸市東灘区向洋町中2-9-1
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(祝・休日の場合は翌日)

佐野美術館
所在地:静岡県三島市中田町1−43
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:木曜日(祝日の場合は開館)

この後、引き続き2018年も巡回は続くそうです。皆様楽しみにされていることでしょう!


萩尾望都SF原画展公式フェイスブックページ

2017.05.09 20:53 | イベント

「炭鉱の記憶と関西 三池炭鉱閉山20年展」に萩尾先生のコーナーがありました

炭鉱の記憶と関西 三池炭鉱閉山20年展2017年5月5日~9日、大阪のエル・ライブラリー(大阪府立労働センター)9階ギャラリーで「炭鉱の記憶と関西 三池炭鉱閉山20年展」という展示が行われました。その中に大牟田市出身で、三井三池工務所の社宅に住んでいた萩尾先生のコーナーがあったそうです。お父様が三井鉱山におつとめだったんですよね。私は行けなかったのですが、ご覧になってきた方からの聞き書きをまとめてレポートします。



大きな展示会場の一番最後の部屋で、大牟田出身の作家、マンガ家が複数紹介されていました。その中に萩尾先生のコーナーもありました。

まず、大牟田での少女期の写真とエピソード。主に「文藝別冊 萩尾望都」に掲載されていたもので構成されています。

次に大牟田のマンガ集団「キーロックス」の活動のパネル。萩尾先生が大牟田時代に活動していたマンガ集団「キーロックス」の活動(同人誌名が『キーロック』)のお話。この集団から萩尾先生、福山庸治さん、原田千代子さんの3名がプロデビューしています。メンバーであった藤井法行(ペンネーム池田法行)さんの文章と高校時代の萩尾先生が藤井さん宛の手紙の中で描いた6点の作品がパネル展示されています。(でも肝心の肉筆回覧誌『キーロック』の現物は見当たらず...)

文章の方では、男性ばかりのロックバンド「キーロックス」4名のうち3名がマンガを描いていて、前述の藤井さんのいとこに原田千代子さんがいて、原田さんの方にマンガを描く女子4名のグループがあり、合流しました。萩尾先生は原田さんの友達の中にいました。1965年末頃、萩尾先生は高校2年生でした。大阪から大牟田に戻る直後からでしょうか。萩尾先生が楽しく同人活動をされていた様子が書かれています。

萩尾先生は高校を卒業後、1967年春から福岡市のデザイナー学院に入学。その後も東京に行った原田さんや福山さんとの手紙での交流は続いたそうです。1968年4月『別冊マーガレット』1968年5月号の少女まんがスクール 第11回で(萩尾望東名義)「ミニレディが恋をしたら」が金賞に入賞し、続いて同年7月号では「青空と王子さま」で銀賞に入賞した話が書いてありました(パネルに「星空~」とあるのは間違い)。


萩尾先生のコーナーには多数の本と複製原画(COMIC JANGLEの時の「ポーの一族 すきとおった銀の髪」)が展示されていました。同人誌で有名な「迷宮'76 萩尾望都に愛をこめて」や萩尾先生のお父様の「南方記」まで。「ヒットソングアルバム」のルネの「小さな生命」西城秀樹「涙と友情」といったちょっとレアな切り抜きもそうですが、『なかよし』1969年8月夏休み増刊号(「ルルとミミ」の掲載号)の実物はなかなか萩尾先生の原画展などでもお見かけしない貴重なものですね。展示の逆の方にガラスケースがおいてあり、「原田誠一コレクション」と銘打って貸本や雑誌、貸本の生原稿までがおいてありました。


「炭鉱の記憶と関西 三池炭鉱閉山20年展」
2017年5月5日~9日 10:00~19:00
エル・おおさか(大阪府立労働センター)9階ギャラリー(主催:エル・ライブラリー、関西・炭鉱と記憶の会)

2017年6月6日~30日 10:00~16:00(日曜休館。6月11日は特別開館)
関西大学博物館(主催:関西大学経済・政治研究所、エル・ライブラリー)

2017.05.09 16:38 | イベント